「コンビニ百里の道をゆく」は、54歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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このところ、新たなスキルや知識の習得を目的に勉強する取り組み=「リスキリング」が注目されていますね。
とても大事なことです。ただこの言葉、「中高年向け」ととらえられることも多く、「リスキリングしないと、働く場所を得られなくなりますよ」というネガティブな響きにもなりがちです。
そうではなく、「若い人でも誰でも、思い立ったらいつからでも」がポイントだと私は考えます。「オールウェイズ・リスキリング」です。若い社員に「こういう部署で仕事がしてみたい」という思いがあれば実現できて、そのサポートもできる。そんな仕組みが理想です。
たとえば「マーケティングをやりたいけど、どうやったら異動できるかわからないし、そもそもマーケティングがどんなものかもわからない」「ローソンのスイーツはすごく魅力的。いちど実際にスイーツ作りを学んでみたいけど、どうしたらいいか」といった声もよく聞くんです。
そうであれば、マーケティング部局に行くために大学のマーケティング講座で数カ月、まずは勉強してきてもいい。スイーツの作り方を学ぶために一定期間、調理師学校に通うのもいいかもしれないし、店舗の開発関係をやりたければ不動産鑑定士の資格を取りに行って、そのうえで異動するのもいいでしょう。
これまでは「いきなり異動先に行っても何もわからないし」という不安で、思い切れなかったかもしれません。そんな面を、どんどん排除していく。
現状の仕事は一生懸命やりつつ、挑戦したい仕事があればまずそのスキルを体得してから、異動する。そんなことが「常に」できるような仕組みを会社に作る。
来年度からはそんな「オールウェイズ・リスキリング」の制度を実現させたいと、考えているところです。
※AERA 2023年12月11日号