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スマートフォン時代のスナップ専用カメラ
パワーショットN2はスマートフォン時代のコンパクトデジカメを模索し、新スタイルを提案する。初代パワーショットNが女性を意識した白いボディーでオンラインショップのみの販売だったのに対し、今回のN2は基本デザインこそ変わらないものの、ブラックボディーになり、チルト式モニターも上側180度回転で自分撮りに対応したし、量販店でも購入できる。
このカメラがユニークなのはシャッターとモニター。ボディーにはシャッターボタンもズームレバーもないのだ。鏡胴回りのリングが二重になっており、外側がズームリング、内側がシャッターリング。内側のリングは上下左右(もちろん斜めも)好きな方向から、レンズに向かって内側に押し込むことで撮影できる。
背面は全面タッチパネル式の液晶モニターで、それが上側に180度チルトする。よって、モニターを好きなだけ傾け、自由に構え、空いている指でシャッターリングを押しやすい方向から押せば撮れる(タッチシャッターも可能)。前モデルを踏襲しつつ、さらに使い勝手を向上させた、斬新な撮影スタイルを提案している。
さらに、いまや同社の他モデルにも搭載されている、1回のシャッターでオリジナルに加えて5枚のエフェクト画像を作り出すクリエイティブショットや、無線LAN機能を搭載し、ワンボタンでスマートフォンとの連係を可能にしている。
ミニマムなボディー+無線LANを使ったスマートフォンとの連係は、ソニーのQXシリーズなど、スマートフォンからリモートで撮れるカメラにつながるものがある。
ただし、1/2.3型センサーとF3.0〜5.9という8倍ズームレンズが作り出す画像は、高画質とはいいがたい。自分撮りを楽しめるスナップカメラなのだから、倍率を下げてでも明るい広角系ズームにすべきだったと思う。それでも、パワーショットN2だからできる自由な撮影アングルや撮影術は非常に新鮮で、思わぬ写真が撮れるという楽しさを持つ新世代のスナップカメラであることに間違いはない。
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パワーショットNシリーズとは
パワーショットN2のベースになったのは、2年前に発売されたパワーショットNだ。正面から見るとほぼ正方形になる、レンズギリギリサイズのコンパクトさ、ズームリング&シャッターリングで構成され、チルト式モニターとあわせ、自由な撮影スタイルを提案した。
基本操作は背面のタッチパネルで行い、ボタン類を徹底的になくした点やワンボタンでのスマートフォンとの連係など、どちらかというとコンサバティブだったキヤノンの中では異色のカメラであり、実験的なモデルだったせいか、発売はオンラインショップ限定だった。そのため目にした人は少なかっただろう。
翌年、派生モデルとして登場したN100はよりカメラらしいデザインになったが、背面モニターの上に小型の自分撮り用セカンドカメラを搭載するというユニークさを発揮して店頭販売された。
どちらも市場的に成功したとはいいがたいようだが、それらを受け継ぐN2が世の中にどう受け入れられるか、注目したい。
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◆荻窪 圭
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●撮像素子:有効約1610万画素、1/2.3型裏面照射型CMOS●レンズ:5.0~40.0mm(35mm判換算28~224mm相当)F3.0~5.9、構成:7群8枚(両面非球面レンズ1枚、片面非球面UAレンズ1枚、片面非球面レンズ1枚) ●最短撮影距離(レンズ先端から):1cm(ワイド端)、1m(テレ端)●背面モニター:2.8型TFTカラー液晶(約46.1万ドット )、視野率:約100%、チルトタイプ●記録媒体:microSDメモリーカード(microSDHC/microSDXC対応)●無線通信:NFC、無線LAN●大きさ・重さ:80.9×62.0×32.3mm・約201g(バッテリーとメモリーカードを含む)●価格:オープン(実売3万770円)