ナタデココ(上)と、ナタデココの繊維の顕微鏡拡大写真=北海道大学田島健次准教授提供

 前出の上田さんは言う。

「ナタデココは独特の食感があり、入っているとうれしい感じがして『また食べたい』と思って下さる方も少なくないようです。加えて糖質が少なく、食物繊維が豊富といったヘルシーなイメージも強い。ドリンクやデザートなどメニューに応用しやすい点も、広く受け入れられた理由だと思います」

 流行当時は生産が追いつかず、本社の会議室や駐車場のスペースを改築したり、ほかの商品の生産ラインを転用したりしたこともあったほどだという。ほかの商品や事業の担当部署や営業部門も含めて、殺到する注文に全社を挙げて対応した。

 とはいえ、ブームは数年で下火になり、生産量も徐々に落ち着いていった。

今も進化を続ける

 フジッコは現在も生産を続けている。社内向けでも定番のゼリー商品「フルーツセラピー」や、500グラム入りの業務用パックなどとして使う。流行が落ち着いた後も需要は根強くあり、日本人の食卓にアクセントを加える食材として一定程度定着したとも言えそうだ。

「当社は国内唯一のメーカーとして、生産や品質面で常に改良を加えており、今も進化を続けています。健康食品としての応用も構想しています」(上田さん)

 バクテリアなど微生物がつくりだす素材の研究や応用に30年余り取り組んできた北海道大学工学研究院の田島健次准教授(遺伝子工学、分子生物学、高分子化学)によれば、ナタデココは食品以外の分野でも活用されているという。

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将来は医療分野などへの応用も