「ふじっ子煮」や「おまめさん」などのロングセラー商品を手がけるフジッコは、昆布や大豆といった伝統的な食材を長く扱ってきた。納豆や漬物のほか「カスピ海ヨーグルト」など発酵食品の実績も豊富で、発酵技術は強みの一つ。ナタデココを自社生産できるのも、この強みがあってこそだ。
ナタデココはもともと、フィリピン生まれの食品だ。フィリピンではココナッツは国民の食卓に欠かせないほど食材として使われる。ナタデココも、同政府が作り方を広めたことでフィリピン国内に普及した経緯がある。
ただし、ナタデココは品質を安定するのが難しい。日本でも当初は輸入品が出回っていたが、固すぎてかみ切れなかったり、形が不ぞろいだったりする課題が見られたという。
上田さんは「当社の商品はかみ応えも形も安定している点が大きな違いです」と強調する。
フルーツソースをかけたデザート
日本で流行したきっかけの一つが、大手ファミレスチェーンの「デニーズ」が1992年にメニューに取り入れたことだと言われている。それまでも缶詰などとして売られることはあったが、知る人ぞ知る存在だった。デニーズがヨーグルトやフルーツソースをかけたデザートを出したところ話題になり、人気が広がった。
翌93年春に生産を始めたフジッコも、ブームを支えた立役者だ。当時、放映されたユニークなダンスのテレビCMを覚えている人もいるだろう。子役だった女優の井上真央さんが出演していたことは今でもSNSなどで話題になったりする。