加藤綾菜さん(撮影/写真映像部・和仁貢介)

子どもはつくらないと決めた

「45歳差」という大きな年の差がある夫婦にとって、夫や周囲の人たちの健康状態はやはり不安の種となってしまう。さらに、もうひとつ。子どもをどうするか、ということも大きな課題だろう。現在、二人の間に子どもはいない。綾菜さんが茶さんと結婚したのは、23歳のとき。子どもが欲しいとは考えなかったのだろうか。

「当然、結婚当初は子どもは持つものだと思っていましたけど、今はもうつくらないと決めました。『いま子どもができんくても、いつか生まれ変わって、また加トちゃんと一緒になったら子どももつくろう』ってスケールの大きいことを考えてます」

 しかし、この境地に至るのは簡単ではなかったという。自身のコミックエッセー『加トちゃんといっしょ』(双葉社)では友人から妊娠報告を受けたときの複雑な心情を語っている。

《年上の友人から妊娠報告を受けました。「30代半ばまでには子どもほしかったんだよね。そうじゃないと、わたしも夫も体力的に大変だから」 それまで、友人からの出産報告や子どもが写る年賀状を見ても、素直に「おめでとう」とか「かわいいなあ」と思うだけで、心が乱されることはありませんでした。でもこの日、彼女のこの言葉を聞き、葛藤ややるせなさがこみ上げてきてしまったんです。と同時に、そんな思いがよぎる自分は、なんて薄情な人間なんだろうと、ゾッとしたのです。それから翌日まで、なんてことを考えてしまったんだろうと、自己嫌悪に陥りながら、頭の中の曇天をかき消すように家事に没頭していました。》

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