神奈川県横浜市「六角橋商店街ふれあい通り」/闇市がルーツの商店街。東急東横線の白楽駅から歩いてすぐの立地だが、裏通りに突然現れるその「昭和へのタイムリープ感」がすごい(撮影/山本有)

 山下さんは「記憶の扉のドアボーイ」を自称している。「価値のあるものとして、平成に目を向けてほしい」とその魅力を発信することで、「あ、記憶の扉が開いた!」と言われることも増えた。すごく嬉しい、と話す。

「『便利さ』も行きつくところまで行きついた感があります。最初から便利過ぎると、もう心が動かないですよね。タイパが叫ばれるいまの時代、たしかにケータイもなく待ち合わせていた不便な時代に戻りたくはないでしょう。でも、効率重視ではなく手間のかかることだからこそ、感情を揺さぶられることがある。無意味で無駄な時間を使うことこそが、人間の幸福なんじゃないか。そういう『便利さへの反動』のような時代の空気が、レトロブームの背景にはあるのではないかと感じています」

(編集部・小長光哲郎)

AERA 2023年11月6日号より抜粋

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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