そう説明するのは、デジタル性暴力の被害者支援に取り組むNPO法人「ぱっぷす」支援員の内田絵梨さんだ。「スタイルがいい」「魅力的だよ」「かわいいね」といった評価が自分の価値であると錯覚させる。そうして、性的に搾取していることにも、されていることにも気づきにくい構造が作られていくという。
性的な搾取の構造は、「女の子はこうあるべき」という偏見も刷り込む。それは、個人が投稿するコンテンツにとどまらない。公共の空間に掲示されるポスターや、不特定多数の人が目にする広告、企業のコラボキャンペーンなどでも、過度に性的な表現が幾度となく指摘されてきた。
ここ数年でも、2019年には、胸を強調するポーズの漫画キャラクターを使用した日本赤十字社の献血啓発ポスターが論争を呼び、20年には環境省の温暖化対策の取り組みのための女子高生キャラクターが炎上。また同年には、玩具メーカーのタカラトミーが自社の看板商品であるリカちゃん人形を宣伝する際に、女児への性犯罪を想起させる文言をSNSに投稿し、謝罪した。
特に問題なのは子どもや未成年者を性の対象として扱うことを容認してきた空気だ。旧ジャニーズ事務所(SMILE-UP.)の創業者、故・ジャニー喜多川氏による性加害の被害者の多くも10代だったが、03年の東京高裁判決で喜多川氏の性加害が認定されても見過ごされ、その後も被害が続いた。(編集部・福井しほ)
※AERA 2023年10月30日号より抜粋