「コンビニ百里の道をゆく」は、53歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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みなさんの「マチのほっとステーション」でありたい。
そんな目標を掲げている私たちにとって、いかに地域に密着したお店であるかは重要な課題。2022年度に先行実施していた、北海道と近畿の「エリアカンパニー制」を3月から全国に広げ、東北、北関東、首都圏、中部、中四国、九州の6カンパニーを新設する新しいチャレンジを始めました。
各エリアカンパニーにプレジデントを置き、権限を委譲することで、迅速な意思決定ができることを目指します。
今はお客様のニーズの変化もとても速い時代。そのエリアの嗜好に合ったアイデアを実現するのに、まずエリアの営業部長、それから本社を通し、全社で決める……。なんて段階を踏んでいたのでは、決めたころにはもう、お客様は次の段階へと行かれてしまっています。
私たちコンビニは、何年もかけて一つの製品を世に出すというよりは変化に素早く対応することが求められます。そのため、「PDCA」=PLAN(仮説)、DO(実行)、CHECK(検証)、ACTION(改善)のサイクルをどんどん回していくことが大切です。
先行導入していた北海道と近畿では、22年上期の日販が全社平均を上回る成果となりました。また、たとえば近畿では人気のアウトドアスパイス「ほりにし」とのコラボ商品として「からあげクン ほりにし」を売り出し、それが近畿発の全国商品になったりも。こういうアイデアは、もし本社を経由していたら生まれなかったのではないか、とも思います。
「次は何をすれば?」というような「待ち」の姿勢ではなく、社員全員が能動的に考えて実行し、結果も出る。非常にいいサイクルで回り始めているので、今後も大いに期待しています。
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長