収録終わりのバタバタしてるときに、弁当を持って帰る袋を探す……なんて実のない仕事なんだろう、と先方は思ってるに違いない。すまぬ。貴方たちが作ってるテレビに出るようなキラキラしたスター様はお弁当なんか持って帰らないだろうが、寄席芸人は持って帰るのですよ。なんなら余った分も頂きたいくらいなのです。

 「お待たせしました! こちらでよろしいですか?」。駆けずり回って探してくれたであろう袋だが、どれもこれもたいがいサイズが合わない。

 たとえば異常にデカい紙袋……。恐らくタレントさんがお差し入れを運ぶのに使ったのか、それとも鉢植えの生花でも入れるのか60×70×70センチくらいの巨大なヤツ。目方のある高価なお菓子がたくさん入ってたんだろうな、とても頑丈だ。そのポテンシャルを活かすことなく、金兵衛(お弁当屋さん)の弁当を一つと「お〜いお茶」の紙パックを一つ入れるだけ。紙袋の中で弁当とお茶があっち行ったりこっち行ったり大暴れ。「おい、まさかこれだけじゃあるまいな! 他になにか入れるモノないかっ! オレ様はこんなちっぽけなものを運ぶために生まれてきたんじゃないぜっ!」と尊大に叫んでいる(袋が)。仕方がないので、折り畳み傘や上着を畳んで入れてみる。まだ余る。「よかったらケータリングのお菓子でも……」とADさんにすすめられ、アルフォートやら味ごのみのファミリーパックやらペットボトルのダイエットコーラやらを敷き詰めて、テレビ局を出る。お弁当だけでよかったのに、金兵衛が「友達」を引き連れて来た。重い。嵩張る。そのうちに袋の持ち手が切れた。さっきまでの居丈高な様子からは考えられないほどに「すいません……こんな重たいとは思ってなくて……」と小さくなっている。袋を両手で抱えながら駅からの道を歩いてると、どういうわけか雨が降ってきた。最悪だ。

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痛たたたたたたっ!!!