かんたん携帯8(ZTE)。5つの「ワンタッチボタン」が特徴だ
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COLOR LIFE 5 WATERPROOF(パナソニック)

 わずか三日で「手のひら返し」?―ソフトバンクモバイルは5月22日、夏の新製品として、従来型携帯電話の「ガラケー」を発売すると発表した。19日の新製品発表会では触れられず、プレス向けリリースで明らかになった。宮内謙代表取締役社長は、発表会で「本質的にガラケーは必要ない」と発言したが、蓋を開けてみると、国内3大キャリアの中で唯一、ガラケーの新製品を発売することになる。

 今回発売されるのは、「COLOR LIFE 5 WATERPROOF」(パナソニックモバイルコミュニケーションズ)と「かんたん携帯8」(ZTE)。いずれも文字を拡大できる機能や、指定した連絡先にワンタッチで通話やメールができる機能を搭載するなど。シニア向けの機能が目立つ。

 「COLOR LIFE 5 WATERPROOF」は、3.4インチの画面を搭載し、文字を大きく表示できるため、高齢者の人でも使いやすい設計だ。3つの「マルチワンタッチボタン」を搭載し、ボタン一つで登録した連絡先に電話をかけたり、電卓やアラームなどよく使う機能を呼び出したりできる。

 このほか、ワンセグの視聴やカメラ撮影機能、赤外線通信やBluetooth接続などの機能を搭載している。ただ、おサイフケータイやテザリング、GPSなどの機能はない。色は、「デニムブルー」「ブラック・ゴールド」「ホワイト・ライトピンク」「ラベンダー」「レッド・シルバー」-の8種類。5月29日に発売予定で、機種代金は発売当日に明らかになる見通しだ。

 「かんたん携帯8」は、画面の見やすさや、携帯電話に使い慣れていない人でも使いやすい設計。よく連絡する連絡先をボタン1つで登録できる「ワンタッチボタン」を5つ搭載した。こちらも、ワンセグやおサイフケータイ、テザリングといった機能はない。6月以降に発売予定で、色は「フォーマルゴールド」「ワインレッド」「ダークブルー」。

 これらの機種は、ガラケーとして最新機種となる。ドコモとauは、夏の新製品として、スマートフォンをガラケーのように仕立てた「ガラホ」を発売したが、ガラケーの新製品はなかった。

 ガラケーはスマートフォンに対応できない人が仕方なく使い続けるもの―ソフトバンクの動きをみると、そんなメッセージのようにも受け取れる。同社が高齢者を中心としたユーザーを見捨てていない点は理解できる。とはいえ、タブレットとガラケーの2台持ちのように、シニア向けではなく、高い性能を持つガラケーを好んで使うユーザーも少なくない。こうしたスタイルにこだわるソフトバンクユーザーはどうすればいいのか。

 ドコモとauはこうしたユーザー層に向け「ガラホ」という“逃げ道”を用意した。だが、ソフトバンクからその答えは示されていない。

(ライター・河嶌太郎)

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