こう話すのは龍谷大学の山崎英恵(はなえ)教授。山崎教授は食べ物や飲み物で、人の気分や自律神経の活動がどう変化するかを研究している。
山崎教授は過去に酒造会社と共同で、ノンアルコール飲料が人の気分や自律神経にどのような影響を及ぼすかの実験を行った。20人前後の男女に、実験前にテスト問題を解かせ「疲れた状態」にさせ、そのあとにノンアルコール飲料を飲んでもらった。
その結果、被験者はお酒を飲んだ時と同じように、ノンアルコール飲料を飲んだ後も、気分が良くなったなどと前向きな回答をした。
「自律神経に関しても、例えばノンアルコールビールやワイン風味のノンアルコール飲料では副交感神経の働きが活発になり、リラックス状態に導いてくれることが分かりました」
なぜそうなるかは定かではないが、山崎教授は、その要因は香気成分にあるのではないかと推察する。香気成分の中には、自律神経に作用するものがあるのだそうだ。例えばジャスミン茶にはリナロールという香気成分が含まれ、副交感神経を活発化させるとの研究がある。
「ビールやノンアルコールビールの香りを支えるホップ由来の香気成分には、リナロールも含まれており、副交感神経を活発にすると同時に、リラックスしたり気分をよくする一定の効果があると考えられます」(同)