占い師、作家 しいたけ.
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 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

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Q:昨年あたりから、体調不良が続いています。食物アレルギーを発症、階段から落ちて骨折、喘息を再発。化学物質過敏症も発症しました。「次は何が起きるのか」と心配になり、「これからどうしたらいいのか」と不安でいつもザワザワしています。これまでの生活を振り返り、いろいろと改善策を練っていますが、途方に暮れる毎日です。(女性/無職/てんびん座)

A:人生には簡単に解決できない問題がつきものですが、それに対する相談窓口って昔はやはり宗教だったのではないでしょうか。お寺の住職とか村の長老に相談する。すると「あの山に行って沢の水を飲み続けなさい」とか、何らかの答えを授けられる。直接それで治らなかったとしても答えを与えてもらうことはすごく安心につながると思うのです。

 ところが現代では、宗教がネットに代わってしまった。僕の個人的な意見ですが、ネットという宗教は劇薬です。悩みの原因や解決策を調べようにも、誰が書いたかわからない記事や意見、有象無象があって、答えが出ているようで出ていない。結果的に不安や心配はさらに深まります。

 不安の渦中にいる相談者さんに対して、僕が「こうしましょう」というのは難しいのですが、代わりに一つ、この相談を受け取ったことで思い出した話があります。それをぜひお話ししたいと思います。

 人に聞いたか本で読んだか忘れてしまったんですけど、ある不治の病に侵されてしまった女性の話です。原因不明の病気で余命何年と宣告された女性は、最後にやりたいことをやろうと、前から憧れだったスペインに行ったのだそうです。トマトが名産の地方で、とてもおいしそうなトマトを見つけた。女性は病気の影響で物を食べられなかったらしいんですが、無理やり食べてみたら今までで一番おいしかったらしくて。それで、そこから病気が回復したという、奇跡のストーリーです。

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