光、音、におい、肌触りなど、私たちを取り巻くさまざまな“刺激が原因となって引き起こされる「感覚過敏」――。不登校などの原因のひとつともされ、いま、壮絶な実態が明らかになりつつなるこの「感覚過敏」について、当事者でありながら「感覚過敏研究所」を13歳で創設した“起業家”としても注目される現役高校生・加藤路瑛さんによる『カビンくんとドンマちゃん 感覚過敏と感覚鈍麻の感じ方』(監修/児童精神科医・黒川駿哉 ワニブックス)の一部を抜粋しつつ、その知られざる世界に迫る。前編はこちら。
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制服はまるで“サンドペーパー”
2023年8月、感覚過敏の当事者で「感覚過敏研究所」所長を務める加藤路瑛さんが、現役高校生でありながら“世界を変えうる30歳未満にフォーカスする企画”「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」のビジネス部門にて最年少受賞を果たし、話題をよんでいる。
加藤さんは12歳(中学1年生)の時に、子どもでも起業しやすい社会にしたいと起業を目指す。12歳では法人の代表になれないため、親が代表取締役、子どもが取締役社長になる起業方法を「親子起業」と名づけ、自ら親子起業スタイルで株式会社クリスタルロードを創業。2020年には「感覚過敏研究所」を立ち上げ、触覚過敏を持つ人のためのアパレル商品開発、大学機関との共同研究、企業とセンサリールーム(感覚過敏に優しい音や光を調整した空間)をコラボ企画するなど、感覚過敏の啓発において、今や第一線で活躍中だ。