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起訴をされた被告が大統領選の候補になることを規制する憲法の項目はなく、トランプ氏は混み合った公判期日の合間を縫って選挙戦を続ける予定だ。
支持者も、トランプ氏の起訴は不当な「魔女狩り」で、「犯罪人」ではないと抗議するチャンスとして、投票所に向かうだろう。
さらに、トランプ氏は、評決前までに獲得代議員数でリードする見込みだ。米調査会社モーニング・コンサルトは9月6日、共和党予備選での支持率を発表し、トランプ氏は60%で、2位のロン・デサンティス・フロリダ州知事の15%を大きく引き離した(調査は9月2~4日)。
米メディアや世論調査機関は、24年本選挙は、トランプ氏とバイデン氏の対決になるとみている。WSJは社説でトランプ氏は「判決前に大統領候補指名を獲得してもバイデン氏に負けるだけ」と早くも予想している。公判が続く限り、本選挙では、冷静な無党派層を取り込むのは無理だという見込みだからだ。
深まる2党間の溝
また、選挙は大統領職のためだけにあるのではない。州知事、上下院議員、州の司法長官などの多くの役職が同時に選出される。
トランプ氏の公判が続き、多くの事実が明らかになる過程で、共和党は大きな政治的リスクにさらされる可能性が高い。トランプ氏が代議員数を伸ばしても、共和党が「一枚岩」になることは困難だろう。
「法の上に立つ者はいない」。一連の起訴で辣腕をふるい、目立った存在となったジャック・スミス特別検察官は、X(旧ツイッター)で主張を続けている。
特別検察官は、バイデン政権の司法省が任命した。そして、大統領選の年と公判が重なったことで、共和党の有権者、指導者などを混乱に陥れた。これでさらに、共和党が民主党を目の敵にし、2党間の「溝」が深まることになりそうだ。(ジャーナリスト・津山恵子=ニューヨーク)
※AERA 2023年9月18日号より抜粋