米ジョージア州アトランタの拘置所で撮影されたトランプ前大統領の写真=同州フルトン郡保安官事務所提供
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 大統領経験者として初めて4度も起訴されたドナルド・トランプ前大統領。公判と大統領選の年が重なったことで、混乱や対立が深まりそうだ。AERA 2023年9月18日号より。

【図表】トランプ前大統領が起訴された4つの事件

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 トランプ氏を司直の手で裁こうという追及も止まらない。市民グループのシティズンズ・フォー・リスポンシビリティー・アンド・エシックス・イン・ワシントン(CREW)は9月6日、中西部コロラド州の投票用紙からトランプ氏の名前を外すように求めて、同州で訴訟を起こした。21年1月6日に起きた連邦議会議事堂襲撃事件で暴徒を扇動したとして、「合衆国憲法を支えると宣誓する」人物として適格ではないという憲法修正第14条を盾に取っている。

 4度の起訴の罪状は、計91件にも及ぶ。この中で最も注目されているのが、4度目のジョージア州フルトン郡のファニ・ウィリス地区検察官によるものだ。被告は、トランプ氏を含めた19人。

「今回の起訴は、被告人たちが開票結果についてジョージア州法に定められた合法的な不服申し立ての手順に従わず、同州での20年大統領選結果を覆そうと、組織的な違法行為を展開したことによるもの」と同検察官。有罪の場合、禁錮刑になる可能性があり、さらに州法で裁くため、トランプ氏あるいは他の共和党候補が次期大統領になったとしても「恩赦」はできない。

AERA 2023年9月18日号より

 24年大統領指名候補を選ぶ予備選挙の日程と裁判の期日の見通しも立ってきた。予備選挙は、1月15日のアイオワ州党員集会で口火を切り、3月5日には十数州で予備選挙・党員集会が開かれるピークを迎える。

 これに対し、ワシントンの判事は、初公判を3月4日に指定した。20年の大統領選結果を覆そうとした事件に関する公判だ。米紙ニューヨーク・タイムズによると、早くて4~6週間で評決に至り、有罪か無罪かが判明する可能性があるという。この場合、評決が出る前に、全米の3分の2の共和党代議員が割り当てられている主な州で予備選挙が行われるという。

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