ネタニヤフ政権とその連立パートナーは、クネセット議会(議員定数は120人、現在連立与党は64人、野党は56人)のわずかな過半数にとどまりながらも、この改革を追求しています。今回の「憲法改正」は、最高裁判所による監査とパワーバランスを減少させながら、最終的に政府により多くの力を与えるでしょう。
イスラエル社会の多くの人々が「憲法改正」に反対し、民主主義と市民の自由を侵食すると主張しています。またこの改革は専制的なハンガリーとトルコの発展の過程と似ているとも感じています。本質的に、これらの改革は、イスラエルを真の民主主義から遠ざけ、基本的人権を犠牲にして政府を監査できないような、権力を与える可能性があります。
改革に反対する人々は街頭に繰り出し、テルアビブ、エルサレム、ハイファ、ベエルシェバなどの主要都市で40週間近くデモを行っています。ピーク時には、イスラエルの全人口のほぼ4%にあたる推定35万人が、一晩の抗議行動に参加しました(日本の人口に換算すれば500万人のデモ参加者に相当します)。これらのデモ隊の一部は、首相や他の大臣の住居周辺に集まり、政治家たちに行動方針を再考するよう促しています。 これらの抗議の間、「デモクラティア!」(ヘブライ語で民主主義の意味)の叫び声が大声で響き渡ります。デモ隊は時折主要道路を封鎖して、ネタニヤフ首相がヨーロッパに向けて出発する予定だった空港へのアクセスを妨害することさえありました。ネタニヤフ首相は空港に到着するためにヘリコプターを使用しなければならなかったこともありました。
この状況は単なる政治闘争以上のものを表していると認めることが重要です。それはイスラエル社会内の文化的対立です。ネタニヤフ政権の右翼連合は、3つの主要なグループで構成されています。
- 与党リクード党の支持者、主に北アフリカ出身の保守的なユダヤ人。
- 超正統派宗教政党を支持するユダヤ人。
- ヨルダン川西岸へのさらなる拡大を提唱する宗教入植者。
反対派は主にテルアビブとその周辺に住む世俗的な中産階級の人々と、イスラエル北部に集中しているアラブ人で構成されています。