ムーンバット 執行役員 戦略事業部長 鈴木康史(すずき・こうじ)/1970年生まれ。92年入社。洋品商品部でネックウェアの企画部署に配属。97年から営業、2004年、洋傘事業部で傘づくりをスタート。09年から洋傘センター工場長などを経て17年から現職(撮影/写真映像部・高野楓菜)
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 全国各地のそれぞれの職場にいる、優れた技能やノウハウを持つ人が登場する連載「職場の神様」。様々な分野で活躍する人たちの神業と仕事の極意を紹介する。AERA2023年9月11日号にはムーンバット 執行役員 戦略事業部長 鈴木康史さんが登場した。

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 3秒で折りたためる傘「urawaza」や約65グラムの最軽量傘「MAGICAL TECH」など、次々とヒット商品を生み出し、2017年発足の担当部署売り上げを5年間で約2倍にした。金額にして15億円。会社全体の17%を占める。

 しかし、それまでには20年近くかかった。“傘とはこうあるべき”という職人のルールを打破するのに時間がかかったのだ。

 入社当時、マフラーやネックウェアの企画・開発をしていた。糸編製品はある程度、完成品がイメージでき、その通りのサンプルができる。

 だが、傘は工業製品に分類され、形のかっこよさだけではなく、耐水性や正確な動作をするかが大事になる。何よりも、新製品の金型を作るのにコストがかかる。

 このため、工場では既存の金型を使いたがった。04年に洋傘を企画・開発する部署に異動したが、作りたいものがあっても、職人からは「無理だ」と言われた。

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