1992年のランサーエボリューション(写真提供 三菱自動車工業株式会社)
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 隔週刊「トミカ 歴代名車COLLECTION」は、タカラトミーが厳選した歴代名車60台を、その詳細を解説したマガジンとともにお届けするシリーズ。スポーツカーからはたらく車まで、毎号付いてくるトミカはオリジナルデザインで、これを集めると、唯一無二のトミカ・コレクションが完成する。

【動画】8号に収録の「三菱 ランサーエボリューション Ⅳ」はこちら

 2週間に一度の発売日には、マガジン巻末に収録されるリレーコラム「My car, My mini car」をAERAdot.にも配信。「三菱 ランサーエボリューション Ⅳ」を取り上げた9月5日発売の8号のコラムは、自動車研究家・山本シンヤ氏による「“ 令和のラストサムライ”スポーツ4WD」だ。

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 1990年代初め、市販車をベースにしたグループA規定で戦われていた「WRC(世界ラリー選手権)」は、ベースモデルのポテンシャルが勝敗に大きく影響した。それを痛感していた三菱/スバルは、これまで使用してきたスポーツ4WD、ギャランVR–4/レガシィRSよりもコンパクトなボディに同じパワートレイン&四輪駆動システムを搭載したモデルを同時期に開発。それが1992年に登場したランサーエボリューション/インプレッサWRXである。

同じく1992年のインプレッサWRX(写真提供 株式会社SUBARU)

「WRCで勝つ」という同じ目的を持って生まれた2台は、ライバル関係となるのは必然だった。市販車にもかかわらず、どちらも1年ごとに大きな進化を遂げた。ランエボは、インプレッサに比べて不利となる重心の高さを電子制御でカバー。インプレッサWRXは、基本素性に優れるが低速トルクが乏しいエンジンと各々に得意・不得意があったが、それを克服するためにさまざまな技術が投入され、毎年のように進化していった。

 大きな転換となったのは、1998年の「ランエボV」の登場だった。専用ボディ(フロントワイドフェンダー+リヤオーバーフェンダー)、軽量化(アルミパーツ/薄板スチール)、専用サスペンション、大径化したブレーキなどの専用アイテムを惜しげもなく投入。その実力は格上のスポーツモデルをも超えるレベルに到達。モータースポーツ界でも「最強マシン」と言われ、WRCではタイトルを完全制覇し、ランエボの速さを強くアピールした。

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