厳密には仲間になるわけではないが、隠しボスが味方になるという話はウワサと同じだ。さらに、2004年に発売されたプレイステーション2版、2008年のDS版の『ドラゴンクエストV』では、エスタークの息子という設定の“プチターク”を仲間にすることができるようになった。

 エスターク自身も、2010年発売の『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー2(DS)』では、仲間にすることが可能になっている。まさに「ウワサが現実になった」のだ。これもウワサの域を出ないが、エスタークが仲間になるという話を耳にしたスタッフが、「その手があったか!」と声を上げたとか。

 いまどきのゲームに関する情報はあっと言う間に広まり、攻略情報はすぐさまインターネットにアップされてしまう。真偽不明の裏技もインターネットを介してあっと言う間に解析され、真偽が判明する。

 だが、90年代半ば、ウワサの真偽を確かめる方法は子どもたちにはなかった。だからこそ、「エスタークが仲間になる」というデマは、魅力あるウワサとして子どもたちの間を駈け抜けていったのだ。

 情報過多となった現代には、こんな楽しいウワサが流れる余地はないのかもしれない。

(ライター・里田実彦)

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