ヨーロッパ3カ国訪問中、ベルギー国王の別荘シエルニョン城でアルベール国王とパオラ王妃夫妻(左端)と週末を過ごす天皇、皇后両陛下と紀宮さま(いずれも当時)=1993年9月、ベルギー
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 皇室として、語学の重要性を意識していたのが上皇さまだ。息子である天皇陛下英語教育に力を注ぎ、ご自身も海外への正確な情報発信に取り組んだ。そして今、皇室のメンバーそれぞれが、外国語を駆使した活躍を見せている。

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 皇室が海外に向けて情報発信する重要性に気づき、熱心に推し進めたのが上皇さまだ。

 上皇さまは、19歳のときに英国のエリザベス女王(当時)の戴冠式にあわせて海外諸国を歴訪。このときに苦労した体験などから、「浩宮には若いうちにぜひ英国での留学を」と強く望んだという。

 平成の天皇に侍従として仕え、『外交官の「うな重方式」英語勉強法』の著者でもある中京大学の多賀敏行・客員教授は、こう振り返る。

「当時の天皇であった上皇さまは、天皇の外国訪問前の記者会見の内容が正しい英語に翻訳され、早く発表されることを希望されていた。逆に言えば、英語で発信しなければ、現地のメディアに取り上げられないとの現実があった」

 外国訪問時や、国内で要人を迎えての晩さん会などでの天皇のスピーチは、宮内庁の式部職が外務省と協議して大筋を作成する。しかし、外国訪問前の記者会見は違ったという。

「上皇さまがご自身の言葉と表現で原稿を完成させて、長女の黒田清子さんがワープロで打ち込むこともありました」(多賀さん)

 そして記者会見が終わると同時に、外務省出身の多賀さんはアイルランド人の御用掛と陛下の会見の翻訳作業にあたった。作業は深夜に及ぶこともあったという。
 

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上皇さまからの「クレーム」