「彼らは子どもへの執着が強く、一度逮捕されたとしても、また子どもとかかわりたいという欲求や衝動を制御することが困難なケースもあります。さらに、子どもとかかわるために法律や制度の『抜け穴』を巧妙に探す、ある意味で天才的な感覚や臭覚を持っている人でもあるのです。規制の対象をどれだけ広げても、抜け穴を見つけようとする。それが加害者の犯行パターンの実態で、規制の範囲が狭ければ、規制のない方に流れていくことは容易に想像がつくでしょう」(斉藤さん)
斉藤さんは、「私は法律の素人ですが」と前置きした上で、加害者側の権利の問題についても疑問を投げかける。
「子どもは社会と大人が守るべき絶対的な存在で、それは全国民の共通認識のはずです。『子どもを守ること』と『加害者の人権』をてんびんにかけたとき、優先すべきは子どもであることは明確ではないでしょうか。加害者側も、子どもとかかわる職業に就くことを制限されるだけで、職業選択の自由は保障されています。子どもを持つ親の誰もが『なぜ?』と思ってしまうような制度設計では、子どもの人権は守れません」
ただ、斉藤さんは同時に、加害者が専門治療を継続しながら仕事に就いて社会復帰するなど、「生きなおし」ができる環境づくりの重要性も指摘する。
「加害者を罰して、社会から排除し続ければいいということではありません。生きる場所がなく、孤立化し、再び性加害に手を染めて新たな被害者を生む。そうした悪循環を止める仕組みづくりを考えていく必要があります」(斉藤さん)
難題ではあるが、子どもの人権が第一という斉藤さんの指摘は間違いない。より実効性のある制度設計が求められる。
(AERA dot.編集部・國府田英之)