インバウンド客で賑わう築地場外市場(撮影/伊ケ崎 忍)
インバウンド客で賑わう築地場外市場(撮影/伊ケ崎 忍)

 パソコンやスマホで使える自動翻訳アプリが急速に進化している。「ほぼネイティブレベル」というが、実力はいかほどか。日本語以外ほぼ話せない記者が、インバウンド観光客と「会話」してみた。AERA 2023年7月31日号から。

【写真】外国人女性にスマホアプリで日本語で話しかけた様子はこちら

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 東京・築地場外市場。猛暑の中、「日本の台所」はインバウンド客でごった返していた。彼らは一体、何をしに来日したのだろうか。

「たこせんべい店」の行列に並んでいた外国人女性に聞こうと、スマホアプリで日本語で話しかけた。

「どこから来ましたか?」

 すると、あっという間に、

「Where are you from?」

 と英語に翻訳してくれた。それをスピーカーで伝えると、女性は笑顔で、

「I’m from Germany.」

 とスマホに向かって返した。スマホの画面には日本語で、

「ドイツの出身です」

 と出た。

 使ったのは、翻訳アプリ「Google翻訳」。Googleが提供する、数ある自動翻訳アプリの中でも、定番中の定番だ。

 この後もGoogle翻訳を使って聞くと、女性は、妹と2人で初めて来日。京都、大阪、東京と日本に3週間滞在し、城や神社を見て回る。昨日は渋谷でクレーンゲームをして遊んだ。日本を楽しんだ後は、韓国に行く……。そんな「会話」をして、彼女と別れた。

 いま、パソコンやスマホで使える自動翻訳アプリが急速に進化している。無料で使えるものも多い。実力はいかほどなのか。そこで、日本語以外ほぼ話せない私(50代)が、Google翻訳を使い、どれだけ会話できるか試してみたのだ。

 使ってみて、「ここまで来たか」と驚いた。最初こそ使い方に戸惑ったが、多少時間はかかるものの、ほぼ問題なく会話ができた。もちろん、相手が好意的にコミュニケーションしてくれたこともあるが、これさえあれば、海外旅行で道に迷った時も心配することはないだろう。

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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