注意したいのは、誰に金の「所有権」があるのか。投資家にある場合と運営会社の場合があって、投資家にある場合を「混蔵寄託(混合寄託)」、運営会社にある場合を「消費寄託」と呼びます。

 前者の場合、所有権は投資家にあっても金利はありません。後者の場合、投資家は運用益の一部を受け取れるが、会社が破たんした場合は資産が目減りしたり返却されなかったりすることもあります。

 金を利用した上場投資信託(Exchange Traded Funds)=「金ETF」という選択もある。金の値動きから損益を受けるもので、株式を売買するように金に投資することができます。

 金と交換できるものもありますが、現物を保有するわけではありません。証券会社に口座があれば買うことができ、株価が下がっても金が支えてくれますが、配当がないのが辛いところです。

■コロナ禍など有事に強い金

金先物の取引が1982年3月から約39年間の値動きと変動要因
金先物の取引が1982年3月から約39年間の値動きと変動要因

有事に強いといわれる金ですが、コロナ禍では2020年8月7日、過去最高の1グラム7769円を記録しました。これは10年前の2倍以上です。

 背景には、世界的な不安から資産保有の意識が高まったこと、米ドルの価値が下がったことなどがあります。過去のリーマンショックなどの例を見ても、ドルが下がれば金は上がるというように、逆の動きをする傾向があります。

 宝飾店や地金商、金属メーカーなどで金地金(きんじがね。金の延べ棒)や金貨を購入することもできますが、すでに述べたように盗難のリスクがあるので、銀行の貸し金庫に保管するなどの対策が必要になります。

(構成 生活・文化編集部 上原千穂)

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