同じ50歳。木村拓哉さんも蜷川実花さんも、半世紀の人生をトップランナーとして全力で駆け抜けてきた。そんな二人が過去や現在の仕事、人生について語り合った。AERA 2023年6月26日号から。
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──AERAは35周年を迎えた。35年前、2人はどんな15歳で、何をしていたのだろうか。
木村:俺はちょうど(芸能界に)足をつっこんだくらいかな。当時はアイドルに対して割とアンチだったんだよ。
蜷川:誰かが応募したの?
木村:そう、親戚が勝手に履歴書を送ってた(笑)。その後、事務所から4、5回連絡があって、無視してたんだけど、その親戚から「やりたくてもできない人もいるんだから、1回行ってくれば?」と言われて。それで15歳のときに入って、今に至る。
蜷川:今まで続けてこられたのはどうしてだろう。
木村:実際に行ってみて「やってごらん」と言われて、最初はできなかったんだよね。その“できない感覚”が、自分を突き動かした部分はすごくあるかな。
蜷川:それ、トップにいる人の特徴よね。私の周りにいる業界のトップランナーも、「できないから面白い」って言う人が本当に多いよ。
木村:波乗りもそうなんだけど、「できない」から面白いって思っちゃう。できないことと楽しいことがいい塩梅(あんばい)で共存しているから、ずっと続けていられるんじゃないかな。
蜷川:仕事においてはどう?
木村:「仕事だから」という感覚はあんまり好きじゃない。ドラマも映画もCMもそうだけど、その時間、その現場に行く時点で俺の「仕事」はもう終わっている。後はその場所で自分と対峙してくれる人たちとのセッション、プレイを楽しむ、っていう感覚しかないかな。
蜷川:なるほど。拓哉くんは何回も撮影させてもらったけど、会うたびに進化してるなと感じる。今日もそうだけど、必ず何か新しい発見があるし、常に“今”が一番格好いいんだよね。撮影中はほぼ話さないけど、セッションという感覚はすごくわかる。
木村:実花ちゃんは15のとき、どうだったの?
蜷川:私は何者でもなくて、早く自分の何かを手にしたいってもがいていた時期だったな。
木村:もがいてた?