──松竹さんが編集主幹を務めるかもがわ出版から、党員でジャーナリストの鈴木元(はじめ)氏がやはり党首公選制の導入を求めて『志位和夫委員長への手紙 日本共産党の新生を願って』を出版しています。それが分派活動と認められたのですか。

 私の本とほぼ同時期に出したら、処分の理由書に「事前に本の内容も知っていた」「時期を調整した」と書かれたのです。私は党京都府委員会から調査を受けた時に、「だって編集者なんだから本の内容を知っていて当然でしょう」、出版時期を合わせたのは「単体では注目されないけど、一緒に出たら話題になるかもしれないし、書店も並べやすい」と説明すると、調査に来た人も「そうだよね。販促活動の一環としてやったことなんだよね」と言ってくれて、その場に居合わせたみんなも頷(うなず)き合って終わったんです。納得してくれた様子でしたから、分派認定は見送られたものと思っていたんですが、私と鈴木さんが分派を形成したことにされてしまったのです。

 鈴木さんは1960年代、立命館大学在学中に8人しかいなかった党員を1千人以上に増やした大功労者。京都府委員会や地区委員会には鈴木さんが育てた専従スタッフがたくさんいます。府委員会は絶対に処分したくなかったはずです。私との整合性を取ることを理由に、鈴木さんを処分してはなりません。

──志位さんは00年に委員長に就任し、20年以上が経過します。やはり党首の在任期間として長すぎたのでしょうか。

 混乱の時代にあって、理論的支柱として党を統一してきた宮本顕治さん、不破哲三さんと違って、志位さんは大変な重圧の中で3代目の党首を務めてこられたと思います。現代において、党首に昔のような権威付けはできません。次の大会で志位さんが誰を指名したとしても、こんなに何十年も党首を続けることなど絶対に無理です。選挙にたった一度負けただけでも、責任論が噴出することだってあり得ます。次のトップになる人のことを考えても、いまこそ党首がきちんとした根拠をもって選出されるシステムを導入しておくべきです。

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