
「過去問を見て書いては、先生に添削していただきました。それを5回くらい繰り返し、後期試験に臨んだんです。それと新聞を読んでいたので、自然と文章力が身についたのかなと思います」
無事に合格し神戸大に入学はしたものの、インフルエンザさえなかったならという思いは残った。半年くらい悩んだ末に、勇気を出して大学の学科長(子ども教育学科)に相談したところ、
「『この大学学科に入学したのも、きっと何かのご縁なんだよ。そしてご縁で人生は拓(ひら)けていくんだよ』と言われて、ちょっと心が軽くなり、前向きにとらえられるようになりました」
その後、3年生の夏に教育実習を経験。教育理論と実践的指導の両方を行う同大子ども教育学科の素晴らしさを、改めて認識できたという。
同時に、今の子ども教育が抱えている問題の多さも痛感した。
「つらい思いを抱えているお子さんがたくさんいます。そういう子どもたちを笑顔にできる教育ができたらと思います」
今春から神戸大学大学院人間発達環境学研究科に進学。博士課程まで進み、子どもを笑顔にするための教育改革などを研究していきたいと語る。
(取材・文/本誌・菊地武顕)
※週刊朝日 2023年5月19日号