「真面目で素直な男で誰からも可愛がられた。野球センスは素晴らしいが、性格面がマイナスに作用したかもしれない。OB、関係者を含めアドバイスを受けると全てを試そうとするなど、周囲の声に影響されやすい。巨人向きの選手ではなかったかもしれない」(巨人関係者)

 プロの世界に入ってくる選手は、誰もが野球に関して一芸に秀でたものを持っているが、それだけでは生き残れない。競争を勝ち抜きレギュラーとして結果を残すためには、良い意味での頑固さやクセも必要になる。特に注目度が他球団とは比べものにならない巨人なら尚更だという。

「坂本が良い例。(今季は)様々な逆風があって出遅れた感はあったが、少しずつ数字を上げている。野球技術に加え、歯を食いしばってプレーを続けられる芯の強さがある。そういった意味で、広岡は巨人では伸びないと判断されたのかもしれない」(巨人担当記者)

 巨人時代は苦戦が目立ったが、オリックスではチーム事情的に起用の機会は増えそう。二塁定着が見込まれていた太田椋が左手首の負傷で長期離脱中、ベテラン安達了一も開幕から出遅れていた。そして広岡の加入後には宗佑磨が死球の影響で登録抹消。広岡は是が非でもこのチャンスを生かしたいところだ。

「オリックスの投手陣は12球団トップクラスなので、野手陣が揃うまでは支え合ってやりくりするしかない。内外野ほとんどのポジションをこなせる広岡の獲得は、福良淳一GMを含めた編成部のファインプレー。出場機会はどんどん増えるはず」(在京球団編成担当者)

 オリックス移籍後は、5月27日の西武戦(ベルーナD)で1番・三塁で出場。相手エース・高橋光成から二塁打を放ったほか、守備でも要所で素晴らしいプレーを見せた。そして9番・中堅で出場した翌日には、平良海馬から先制2ラン本塁打を放つなど見せ場も作っている。

 大阪出身ではあるが子供の頃から巨人ファン。しかしプロ入りしたのは同じ東京を本拠地とするヤクルト。その後、大好きだった巨人に移籍するも結果を残せず、生まれ故郷である大阪の球団でプレーすることになったのは何かの縁かもしれない。

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