■恋柱・甘露寺蜜璃

 何度見ても、甘露寺蜜璃はやはり強い。時透無一郎ほどの人物が虚をつかれ、炭治郎と禰豆子と玄弥が3人がかりでも歯が立たない「上弦の鬼」と渡り合うことができる実力を持っている。ボロボロになった炭治郎に「休んでていいよ!!」と言葉をかける蜜璃は、頼りになる恋柱だ。蜜璃はその異様な強さゆえ、これまでは「自分より弱い人たち」から助けられることはなかった。

 ただ、今回の敵はいつもと違う。「上弦の肆」はあまりにも強く、蜜璃は大きなピンチにおちいる。しかし、この時、炭治郎が、禰豆子が、玄弥が、この「強い恋柱」を抱きしめて、自分たちの身をなげうって、鬼の攻撃から彼女を守ろうとした。

「甘露寺さんを守るんだ!! 一番可能性のあるこの人が 希望の光だ!!」

竈門炭治郎/14巻・第123話「甘露寺蜜璃の走馬灯」)

 甘露寺蜜璃にとって、これは初めての経験となった。彼らの言葉が蜜璃の心の奥深いところに届いていく。誰よりも強くなくてはいけないはずの「柱」が、誰かに守られてはいけないはずの「柱」が、後輩剣士たちに守られたのだ。彼女は心底驚いたが、その瞬間、涙とともに“新しい”甘露寺蜜璃が「生まれる」。

「任せといて みんな私が守るからね」

(甘露寺蜜璃/14巻・第123話「甘露寺蜜璃の走馬灯」)

■“新しい”甘露寺蜜璃

 かつて自分の強さを否定された蜜璃は、「添い遂げる殿方」の理想を語る時に、こんなことを言っていた。

「やっぱり自分よりも強い人がいいでしょ 女の子なら 守って欲しいもの! わかる?この気持ち 男の子には難しいかな」

(甘露寺蜜璃/12巻・第101話「内緒話」)

 そんなことを夢見ていた蜜璃だが、彼女は自分が「誰かを守れる存在」であることの大切さをここで改めて自覚する。怪物のように言われることを恐れて、力を抑えていた蜜璃は、ここでようやく真の強さを手に入れた。蜜璃は、「守られる」ことで「強さが倍増する」という特殊な経験をした。それは、自分の本当の心と力の解放だった。

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将来おとずれる「幸せな恋」