本を読んでいて「これは!」と思うことが書いてあるとページの端を折るのだが、この本は途中でそれをやめてしまった。そんなことするのは意味がない。だって最初からほとんど全ページ折ってたからだ。
 すごい本です。元自衛隊空将である佐藤さんら自衛官が体験したUFO話。とにかく、よく見るらしい、UFOを。多くの自衛隊パイロットが、空を飛んでいると「正体不明機」に遭遇するそうだ。そのスケッチも載っている。いわゆる「空飛ぶ円盤」。昔よく矢追純一の番組で出てきたアダムスキー型円盤そっくりの。それを子供が写生したような……。同じ頃、車に轢かれたらしい直径八十センチぐらいもある大クラゲが発見された! 海が近くないのに! 鷹やトンビがこれほど大きなクラゲをくわえて飛べるはずがない。その日はUFO目撃があったと夕刊に出ていた。ということは、これは映画などでよく見るクラゲ状の宇宙人の轢死体か、と。
 さらに、自衛隊機の事故があった前の日に、同じ機体で飛んだパイロットに「早く帰れ」と何者かが囁いた。そのとき基地方向に非常に明るい光があった。彼はその囁きに従ったことで助かった。どうもそれはUFOが教えてくれたようである、と。超悪天候でフライトを敢行した時、横田基地の上空だけ明るくなって有視界飛行ができた。これはUFOのおかげではないか、と。
『かぐや姫』は日本に伝わる天女伝説の原型ではないか、そして天女とは宇宙人ではないか。西洋では宇宙人というとクラゲの化け物みたいに描かれるが、日本では美しい衣をまとった美女なのである。「日本人は、なんと想像力豊かな優しい民族なのでしょうか」と書く。
 自衛隊員でもUFOが見える人と見えない人に分かれていて、見える人は夢にも出てくるという。まあ、ともかく、読んでいて面白い。そして日本はたいへん平和で良いなという気持ちがわきあがる。

週刊朝日 2014年12月26日号