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「飲みニケーション」という言葉が広く使われるようになって久しい。近年では、推奨する企業がある一方で時代遅れだとする声もあり、捉え方も意見も様々だ。だが、組織で働く上で周囲の人間としっかりコミュニケーションをとることが重要であることに異論がある人はいないだろう。

 日本経済団体連合会が2013年11月、1300社以上を対象に、新卒社員を採用する際に特に重視した点を調査したところ、トップは「コミュニケーション能力」の86.6%で、2位の「主体性」の64.9%を大きく上回った。一方で、コミュニケーション能力に苦手意識を持つ20代の社員は少なくない。

 日本法規情報が世代別に「職場での辛いこと」を調査したところ、20代では、「上司に叱咤(しった)されること」が21%でトップ、「有給を取りにくいこと」が16%で2位、「『最近の若い人は…』と言われること」が14%で3位となった。

 そして、4位は14%で「職場での飲み会への参加」、5位は10%で「職場の同僚とのランチ」、6位は9%で「上司、先輩、同僚、後輩との雑談」と、社内の人とのコミュニケーションが要求される項目が35%近くを占めた。この3項目について他の世代はどう感じているのだろうか?

 30代では、「職場での飲み会への参加」が15%で3位に入ったものの、「上司、先輩、同僚、後輩との雑談」は9%で7位、「職場の同僚とのランチ」は5%で9位と、20代と比較すると割合が低くなっている。40代では、「職場での飲み会への参加」は14%で2位に入ったが、「上司、先輩、同僚、後輩との雑談」は8位で6%にとどまり、「職場の同僚とのランチ」はゼロだった。

 ひとりぼっちを表す「ぼっち」や、トイレで食事をする「便所飯」という言葉がインターネットを中心に使われ、共感を覚える若者も多いようだが、他人と打ち解けられないというのは、会社だけでなく普段の生活にも支障をきたす可能性がある。

 1位から3位までの「辛いこと」も、コミュニケーション不足からくるすれ違いだという見方もできるだけに、お互いの世代がお互いの考えを押し付け合うのではなく、相手の立場で考え、行動することが大切だと切に思う。コミュニケーションの特効薬は「思いやり」なのかもしれない。