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■兵庫県 Mさま邸

 大きさの異なる長方形がいくつも重なり合うように見えるMさま邸の外観。シンプルで街並みに調和しつつも、独特の雰囲気を醸し出しています。

 Mさま邸のフォルムデザインをひと言で表すなら、「直線の妙」と言えるかもしれません。直線はまた、室内の空間においてもデザインのキーワードとなっています。

 たとえば、1階のエントランスから続くホールは、一直線にパブリックスペースへと伸び、透明ガラスでできたフレームレスの扉の向こうを望むことができる仕掛け。

 また、ダイニングとリビングが一体となったパブリックスペースには、高く伸びた太い柱が2本。ダイニングの吹き抜け空間の力強いアクセントになっています。

 光をたくさん採り入れようと、複数の大きな開口部が設けられ、空間にやわらかな光が注ぎ込みます。

 もうひとつ、Mさま邸の特徴として「硬軟の妙」もあげられるでしょう。これは硬質な素材とやわらかな素材を巧みに組み合わせ、シャープさにやさしさを添えています。

 たとえば、開口部にはフロストガラスがはめ込まれ、南面の強い陽射しをやわらかなものにしています。

 またパブリックスペースの床は大理石の硬い材質で覆われていますが、2階への階段はカーペット。ソファやチェアも布製で、あたたかさを演出しています。

 こうした空間の構成やデザインの牽引役となったのがご主人。住まいへのこだわりが明確で、それらを一つひとつ形にしていきました。

 一方、奥さまがこだわったのは、やはりキッチンでした。あえて空間を独立させ、中央に広いワークトップを備えたアイランドキッチンを配しています。

 もともと住まいには、モノの少ないすっきりとした空間を望んでいた奥さま。広いキッチンには十分な収納もあり、作業中でも扉を閉めてしまえば、ダイニングやリビングから中が見えることはありません。

 1階にはほかに、洗面所やバスルームなどの水廻り、ゲストルーム、ライブラリーがあります。

 ユニークなのがライブラリーで、ここはご主人の書斎兼お子さまの勉強部屋。ホールからも、リビングからも出入りができて、親子でライブラリーにこもることも多いとか。

 また2階にはご主人自慢の広々としたオーディオルームがあり、コンパクトな劇場といった風情です。

 さらにご主人と奥さまそれぞれのウォークインクロゼット、子ども部屋、主室が中庭を囲むように配置されています。

 Mさま邸は、ご家族一人ひとりがゆとりをもって過ごすことのできる、まさに「大人仕様」のお住まいでした。

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