ベルリン国際映画祭でレッドカーペットを歩いた新海誠監督たち/2月23日
ベルリン国際映画祭でレッドカーペットを歩いた新海誠監督たち/2月23日
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 ベルリン国際映画祭金賞にノミネートされた新海誠監督「すずめの戸締まり」。興行収入100億円を超えたこの作品が持つ魅力に迫った。AERA 2023年3月13日号から。

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 新海誠監督によるアニメーション映画「すずめの戸締まり」が、第73回ベルリン国際映画祭で最高賞の金熊賞にノミネートされた。日本のアニメ映画が同映画祭の金熊賞を争うコンペティション部門に出品されたのは、宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」以来21年ぶり。賞は惜しくも逃したが、「新海誠監督にとって(世界に名を知らしめた)名刺代わりの一本だと思っています」とアニメ評論家の藤津亮太さんは言う。

「欧米の映画市場で言うと、新海監督は『君の名は。』で売り出してからまだ7年。1980年代後半から海外のクリエイターたちの間で支持され、2002年に金熊賞を受賞した宮崎駿監督のバックボーンとは異なります」

■復興まだのところも

 新海作品といえば、美しい背景に情感を乗せて語ることが得意技だ。「すずめの戸締まり」ではさらにキャラクターの演技の面白さや、「君の名は。」や「天気の子」で踏襲したハリウッド的な構成メソッドを崩してでも物語を押し進める推進力が感じられると藤津さんは言う。

「題材に合わせて語り口を変えてきたことも大きな進化だと思っています」

 主人公は九州の小さな町で暮らす17歳の岩戸鈴芽(声・原菜乃華)。ある日、災いをもたらす扉を閉めることを家業とする閉じ師・宗像草太(声・松村北斗)と出会い、日本各地の廃墟を巡りながら、災いの元となる扉を閉めていく。ベルリン国際映画祭の会見で新海監督が、

「12年前に起きた東日本大震災という出来事がいまだに日本人の心の中に残っている、復興していないところもあるということを皆さんに知ってもらえる、とても貴重な経験になった」

 と語ったように、映画は2011年の東日本大震災がベースとなっている。

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