放送10周年を迎えるNHK連続テレビ小説「あまちゃん」でスターダムに。以後も「女優・創作あーちすと」として多様な分野で活躍を続ける。2022年には主演映画が3本も公開された。今年は、1月に日本アカデミー賞の優秀主演女優賞に選ばれ、7月には30歳を迎えるなど、「節目の年」になりそうだ。
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──ヒロイン・天野アキを演じた「あまちゃん」は、ご自身にとってどんな作品ですか。
多くの人に見てもらい、私の基盤になった作品です。明るくてポジティブな役柄が合っているんだと気づかせてくれた。それまでは自分に暗いイメージを持っていたんです。太陽じゃなく月だよなって。
──今でも印象に残っているセリフは?
アイドルをめざす友人に怒鳴った「ダサいくらい何だよ、我慢しろよ!」。確かにそうだなって痛感しました。アイドルも役者も人様に見られる仕事。恥ずかしさを乗り越えないとできません。
──「じぇじぇじぇ」って今も言います?
みんながここで言うとは思っていないだろうなっていう、隙を見つけたときに言います(笑)。「ギョギョギョ」も使いますよ。
──あまちゃんの舞台になった岩手県をはじめ、東北各地に何度も足を運んでいます。
ロケで2カ月以上滞在し、生活していましたから、行ったときも「懐かしい」というより「帰ってきた」という感じです。
──あまちゃんで共演した人たちとの交流も続いています。ベテランのみなさんに学んだことも多いのでは?
あまちゃん撮影時は19歳。自分の演技に納得できず、「ダメだなあ」とこぼしてばかりいたとき、宮本信子さんが「満足できないから続けられるのよ」と助言してくれました。当時は「毎日すごい演技をされているのに、まだ満足してないんだ」とびっくりしたけど、今はよくわかる。満足してしまえば成長はない。満足しないからこそ、今よりいい演技をめざせる。厳しくもやさしい言葉をもらいました。
小泉今日子さんには現場での責任感について学びました。柔らかい言葉で鋭い指摘をする。話しててスカッとするし、みんなの士気を高めてくれるんです。