■さかなクンの「好き」に共感
──渡辺えりさんとは、16年に台風被害を受けた岩手県久慈市を一緒に訪ねましたね。
尊敬する大先輩なのに、同じ目線で接してくれる。私がツッコミを入れると、「のんちゃんのバカ!」なんて言う。一緒に映画「レ・ミゼラブル」を見たときには隣で号泣しちゃう。無邪気なところがすてきです。
──同世代の共演者とも仕事の縁が続いています。山谷花純さんは「のんちゃんはしっかり準備して難易度の高い演技をしている」と評していました。
台本を読み込んで、この役がどういう人なのかを自分なりに構築します。台本になくても、その場のシチュエーションに合わせて対応する場合があります。そのとき、のんの反射神経ではなく、役の反射神経で動かなきゃいけない。求められるのは「私」でなく「役」の瞬発力です。でも、この役を私が演じるならこういう解釈になるよなって部分も残さないと、私が演じる意味がない。言われたことをやるだけの演技にはしたくないので、毎回すごく悩みます。
──5年前のインタビュー時に比べ、よく話してくれるようになった印象です(笑)。
22年公開の映画「Ribbon」の監督をしたことで意識が変わったんです。1~2年前からですよ。自分が演者だったころは、表現したものを見てもらえばいい、自分自身のことは話さなくていいくらいに思っていました。あと、私って生意気だから、あまのじゃくなことばっかり頭に浮かんでしまう面もありました(笑)。
でも、自分で作った作品を世に届けることになったとき、やっぱり言葉にして提示しないと伝わらないと感じて、すごくしゃべるようになりました。確かに、自分が映画や小説に触れるときも、作り手のことがいろいろ気になりますからね。のんもしゃべらなければいけないときが来た、みたいな感じです。
──あまちゃんには、さかなクンも出てました。
さかなクンに学んだのは「好きに勝るものはなし」ですね。「好き」に突き動かされるパワーは何にも負けない。苦労を苦痛と思わない。私にもそういうところがあるので、すごく共感しました。