気象庁は10日、エルニーニョ監視速報を発表しました。4月もエルニーニョ現象が続き、沖縄・奄美の高温に影響したとみられます。今後、秋にかけてもエルニーニョ現象が続く可能性が高くなっています。
4月の実況
4 月のエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値より高い値で基準値との差は+0.7℃、エルニーニョ現象発生の判断に使用している5 か月移動平均値の2 月の値は+0.8℃ となり、6 か月連続して+0.5℃ 以上でした。太平洋赤道域の海面水温は、インドネシア付近を除き、ほぼ全域で平年より高くなりました。海洋表層の水温は中部から東部で平年より高くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より活発で、中部の大気下層の東風(貿易風)は平年より強くなりました。大気はエルニーニョ現象時の特徴が不明瞭でしたが、海洋はエルニーニョ監視海域の海面水温が高い状態を維持しやすい状況となっていました。このような海洋と大気の状態から、エルニーニョ現象が続いているとみられます。
今後の見通し
太平洋赤道域の中部から東部にかけて見られる海洋表層の暖水は、東部の海面水温が平年より高い状態を今後しばらくの間は維持すると考えられます。エルニーニョ予測モデルは、今後秋にかけてエルニーニョ監視海域の海面水温が基準値より高い値か基準値に近い値で推移すると予測していますが、不確実性が大きくなっています。以上のことから、今後夏にかけてエルニーニョ現象が続く可能性が高くなっています。秋にかけては平常の状態になる可能性もありますが、エルニーニョ現象が続く可能性の方がより高いとみられます。
西太平洋熱帯域及びインド洋熱帯域の状況
西太平洋熱帯域: 4 月の西太平洋熱帯域の海面水温は、基準値より低い値でした。今後、夏にかけて次第に基準値に近づき、秋は基準値に近い値で推移すると予測されます。
インド洋熱帯域: 4 月のインド洋熱帯域の海面水温は、基準値より高い値でした。今後、秋にかけては基準値より高い値か基準値に近い値で推移すると予測されます。
エルニーニョ時の日本の特徴
エルニーニョ現象発生時の日本の夏は、平均気温が、西日本で低く、北日本で並みか低い傾向。降水量は、西日本の日本海側で多い傾向です。秋は、平均気温が、沖縄・奄美、西日本で低く、東日本、北日本で並みか低い傾向です。