デヴィッド・ボウイの遺作『★』(ブラックスター)が、18万枚を突破して初のNo.1獲得となった、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。
独走状態だったアデルの『25』をついに破ったのは、1月10日に癌のため死去したデヴィッド・ボウイの遺作『★』だ。数ある名盤を残しながらも、米国で首位を獲得するのは、本作が初となる。母国UKをはじめ、オーストラリアやドイツ、ノルウェーなど、各国でアデルから首位の座を勝ち取った『★』。その差は4万枚と僅差ではあるものの、スーパースターの有終の美を各国で称えられている。
また、2002年にリリースされたベスト盤『デヴィッド・ボウイ・ベスト』が9万枚を突破し、4位にリ・エントリーを果たしている。本作は、リリース当時の最高位が70位だったが、追悼の意を込めて購入するファンが多く、週間セールス94,000枚を獲得して、一気に上昇した。デヴィッド・ボウイがアルバム・チャートでTOP5内にダブル・エントリーするのは、これが初めてだ。
1967年にアルバム『デヴィッド・ボウイ』でデビュー。当時アメリカではまったくの無名で、本国UKでも最高位125位と100位圏外だった。2年後にリリースされた、2ndアルバム『スペイス・オディティ』(1969年)から、タイトル曲がUKで首位、アメリカでも15位と大ヒットを記録し、一気にその名を世界に知らしめた。初のTOP10入りを果たしたのは、1974年の8thアルバム『ダイアモンドの犬』。UKではNo.1をマークし、アメリカでは5位を記録。続いて、9th『ヤング・アメリカン』(1975年)、10th『ステイション・トゥ・ステイション』(1976年)と3年連続でTOP10入りを果たし、一躍トップスターとなる。
80年代には、自身最大のヒット曲「レッツ・ダンス」(1983年)で、シングル・チャート初のNo.1を獲得し、アルバム『レッツ・ダンス』も、UKはじめヨーロッパ各国で首位デビュー、アメリカでも4位をマークした。80年代の大躍進を遂げ、90年代には低迷期に入が、2000年代以降も根強いファンに支えられ、チャートでも巻き返しをはかる。本作『★』の3年前にリリースされた、27枚目のスタジオ・アルバム『ザ・ネクスト・デイ』では、自己最高位となる2位を獲得し、主要各国でNo.1デビューを果たした。
チャートの動向をみても、ここからの再ブレイクが期待されていた最中の悲報であり、彼のオリジナル曲が聴けなくなると思うと、ファンのみならず哀惜の念に堪えない。また、18日にイーグルスのメンバー、グレン・フライが死去したため、次週以降はデヴィッドの遺作と共に、イーグルスのタイトルも、チャートを急上昇することだろう。
TOP10内、その他に初登場作品はなく、シングル・チャートでヒットを記録しているジャスティン・ビーバー(3位)や、トゥエンティ・ワン・パイロッツ(5位)などが、粘り強く売上を伸ばしている。次週以降は、【グラミー賞】のノミネート作品が、徐々にセールスを伸ばしてくることが予想される。
Text: 本家 一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートの掲載は、20日22時以降となります。