大阪府警の元SPの意見も厳しい。
「安倍元首相は選挙になるとスイッチが入るタイプで、有権者との握手、グータッチも想定以上に長いことは、情報共有されているはず。テレビを見るかぎり、あまりにさびしい警護態勢ですよ。私も安倍氏が首相時代に警護をしたことがあるが、予定が決まれば何日も前から下見して、周辺に住む思想性があったり、前科がある人間を確認したりとやっていますよ。選挙カーに乗るまでは周囲を警護で囲んで、一般の人は接触できないようにしているはず。今回は選挙カーを使っていないとなれば、なおさら周囲を囲む必要があった」
奈良県警が会見で明かしたところによれば、事件当日、安倍首相が現地入りするとの連絡を奈良県警が受けたのは前日の夕方だったという。準備の期間が短く、突発的な対応を強いられたのではないかと質問が飛んだが、谷源(はじめ)・警備部参事官は「そういう警護もあるということです。用意する時間はあったと思います」と語った。
会見では警護態勢に不備はなかったのかと、報道陣からは何度も質問が飛んだが、中西和弘刑事部長は、「警護・警備態勢に問題があったかは、今後検証していく。まず何よりも事件の全容解明に向けて捜査をしてまいります」と繰り返した。
あまりに多くの謎と、検証すべき課題が残る事件となった。
(AERAdot.編集部、今西憲之、上田耕司、週刊朝日・唐澤俊介、佐賀旭、小泉耕平)