先月25日には、群馬県伊勢崎市で40.2度を記録。6月に国内で気温が40度を超えるのは観測史上、初めてのことだった。連日のように熱中症警戒アラートが発表され、厚生労働省は屋外でのマスクを外すようにと呼びかける。まるで熱帯地方かと思えるような暑さだが、日本人の生真面目さか、強い日差しでもしっかりとマスクを装着して外を歩く人も多い。屋外でかたくなにマスクを装着し続けるとどのような危険があるのか――。
* * *
一歩外に出ると、アスファルトからの照り返しでジリジリと肌が焼け、温室にいるかのような湿度の高さで息苦しい。連日の猛暑で熱中症警戒アラートが発表され、都心部では日中、救急車のサイレンがひっきりなしに鳴り響く。
熱中症患者の救急搬送が各地で相次いでいる。消防庁によれば、6月27日から7月3日までの7日間において全国で熱中症で救急搬送された人数は1万4353人。今月に入っても東日本各地で40度を超える地域が出ている。
この暑さをさらにしんどくさせるのが、マスクだ。
政府は、2メートル以内で会話をする場合を除いては、屋外でマスクをする必要はなく、むしろ熱中症のリスクが高まり危険だと呼びかける。それでも行き交う人は、7月に入ってもマスクをしっかりと装着している。
午後のカンカン照りの中、筆者が取材で移動していると、母親と小学校低学年の女の子が乗った自転車2台が信号待ちで横に止まった。暑さにぐったりした様子の母親は、マスクをあごまで下げた。
「熱中症になるからマスクを外しなさい」
母親はそう促すが、顔を真っ赤にした女の子は、「みんなマスクつけているもん」と、首を横にふってマスクを外そうとしない。
熱中症に詳しい東京曳舟病院(墨田区)の三浦邦久副院長は、両腕を広げてそこに人がいなければ、マスクを外さないと大変危険だ、と警鐘を鳴らす。
「特に、子どもは身体に熱がこもりやすい。具合が悪くなってもマスクで顔が隠れているため、異変に気づくのが遅れる」