小田はバラエティー番組などで何度か「堺雅人が永遠の憧れ」と語っている。稀代の人気俳優に尊敬の念を抱いていることを明言するのは、それだけ彼が役者業と真摯に向き合っているということか。前出のプロデューサーはこう言う。

「堺雅人さんのような高い技術力と存在感で芝居をやり続けたいという熱い思いは伝わってきますね。朝ドラの評価が高かったとはいえ、今は芸人としてのネームバリューでドラマに呼ばれているところが大きい。今後、そこから脱却して芝居の評価だけでどれだけオファーが来るかが勝負です。うまくいけば、竹中直人さんのような“元芸人俳優”として大ブレークする可能性も秘めていると思います。先日、バラエティー番組で、やりたい仕事の比率は『芝居3割、ナレーション3割、お笑い4割』と話していました。片手間でやるより、それくらい振り切って芝居に情熱を注いだほうが彼の場合は絶対にいいと思います」

■絶叫ツッコミだけでは限界?

 “専業役者”へのシフトチェンジも進めていそうな小田だが、お笑い番組を数多く手掛ける放送作家は「自分のポジションがわかっている人」と評する。

「芸人として冠番組を持ち、『アメトーーク!』で特集されたり『IPPONグランプリ』に出るなど、すでに芸人としてかなり実績を残しています。本来ならより高みを目指すのが芸人の習性ですが、彼はそういう野心はなさそうです。昨年、小田さんはドッキリにかけられた回数が全タレントで1位だったのですが、結局はイジられて絶叫ツッコミして笑いを取るという手法しかないということは本人が一番冷静に自覚している。つまり、このままバラエティーの平場で消耗していくよりも、すでに手応えを感じつつある俳優業に転身していきたいという思いがあるのでしょう。M-1で『おいでやすこが』として準優勝したときも、『ユニットであり、コンビではない』と一線を引いたのは小田さん。そのスタンスは今も変わらず、あくまでもピン芸人としての自分にこだわっている。その次なる戦略が俳優業への進出なんでしょうね」

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イッセー尾形のような名優になる可能性も