「『BEYOND』は“乗り越える”ということで、まず光を見つけて、そこからいろいろな旅に出ていく。私達自身がアイスショーで一つずつ乗り越えていった先に、みんなの『BEYOND』のパワーを集結させて最後花開く、というような内容になっています」
すべてを乗り越えてはばたく不死鳥をイメージしたという、袖が金色に縁どられた翼のように見える衣装をまとった浅田真央は、アイスショー「BEYOND」で描く物語についてそう語った。
9月10日に滋賀県立アイスアリーナで行われた、「BEYOND」の初回公演。洗練された映像と磨きこまれたスケートが融合した、新たな形のアイスショーが繰り広げられた。正面とリンクを囲む位置に設置されたLEDヴィジョンが、プログラムが紡いでいく物語の舞台装置となってドラマチックな効果を挙げる。「浅田真央サンクスツアー」に続き浅田が現役時代に滑った楽曲中心の構成だったが、時にミュージカルのように、また時にはバレエのように繰り広げられる「BEYOND」は、さらに豪華で成熟したエンターテインメントとなっている。
「本当にこのタイトルの通り『BEYOND』ということで、いろいろなことを乗り越えてきました。そしてもう一つのテーマはやはり『覚悟と進化』ということで、私自身もペアプログラムのリフトだったり、(スロー)ジャンプだったり、自分のパフォーマンスもいろいろなことに挑戦してきたのがこの『BEYOND』なので、それを感じていただければ嬉しいです」
浅田がそう言うように、特に強い印象を残したのは、柴田嶺と組んでペアの演技を見せた『シェヘラザード』だ。『シェヘラザード』は、2011-12シーズンのショートプログラムとしてタチアナ・タラソワが振り付けている。アラビアの姫君をパンツルックの衣装で演じる当時21歳の浅田は、少年のような爽やかさを漂わせていた。そして今「BEYOND」で再び滑る『シェヘラザード』について、浅田は次のように説明している。