例えば、冒頭に書いた米カルパースは大勢のファンドマネジャーを抱えており、彼らが銘柄を決定し、投資を行っている。ところがGPIFの場合は「直接、株を売買できないんです。それは法律で定められています」(長岡さん)。そのため、保有資金の運用は外部の運用会社に委託し、123個の「ファンド」に振り分けている。売買の判断は各ファンドに任せられている。
■大した存在ではない
それにしても、およそ200兆円とは途方もない資金量だ。
「記事などでは、よく『市場での存在感は大きい』『東証の7%ぐらい保有している』と書かれます。ですが、将来世代の保険料負担が大きくなりすぎないように、年金積立金を本格的に取り崩す局面がくるのは約50年後と試算されています。しかも市場にできるかぎり影響を及ぼさないように、計画的に少しずつ取り崩すので、大きな海にちょろちょろと水を流すようなものです。特に米国市場の総額は5千兆~6千兆円と非常に大きいですから、われわれは大した存在とはとらえられていません」(長岡さん)
今後100年間の年金の財源を見た場合、7割が保険料で、2割が国庫負担と呼ばれる税金だ。GPIFが扱う年金積立金は1割で、いわば“わき役”にすぎないという。
「年金積立金はあくまでも将来の給付水準を下支えするものであって、メインではありません。為替レートが円安に振れて、仮に積立金が膨れても、50年後、ちょっとプラス貢献できるかな、くらいの感じです」(長岡さん)
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)