バイデン大統領のキーウ訪問(Ukrainian
バイデン大統領のキーウ訪問(Ukrainian President Press Office/UPI/アフロ)
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 ロシアがウクライナに軍事侵攻してから2月24日で1年。長期化する戦闘に収束の兆しは見えず、各国を巻き込んだエスカレートが懸念される。この状況を脱する道はないのか。ロシアや停戦交渉に深い知見を持つ元外交官・東郷和彦さん、東京外国語大学教授・伊勢崎賢治さん、一水会代表・木村三浩さんの3人に語り合ってもらった。

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木村:ウクライナ侵攻から1年のタイミングで、バイデン米大統領はキーウを電撃訪問しました。ゼレンスキー大統領と長距離ミサイルの供与などを協議したと伝えられ、提供兵器がさらに高度化し、エスカレートしていく恐れがある。ポーランドの首都ワルシャワで行った演説では、ウクライナを支援するNATOの結束をアピールする一方、「民主主義の世界は強くなり、独裁者の世界は弱体化した」と語るなど、世界の分断を煽(あお)っています。戦争を始めたロシアが責められるべきですが、米国側に対話を呼びかける姿勢が見られず、暗澹(あんたん)たる思いがします。

東郷:ロシアのプーチン大統領は、米ロ間でICBM(大陸間弾道ミサイル)の削減などを定めた新戦略兵器削減条約(新START)の履行を中断すると演説しました。今後、米国と協議することに意味を見いだせないと表明したわけです。要は、ロシアは長期戦を視野に入れているのです。

木村:ヌーランド米国務次官に至っては、ロシアが2014年に編入したクリミア半島の奪還、プーチン政権の転覆にまで言及しています。こんなことを言いだしたら、戦争は長引くばかりです。

東郷:つまり、ウクライナに全勝させるという強硬論ですね。けれども、そう言われてプーチン氏が戦争をやめるわけがありません。昨年2月24日、ロシアが軍事侵攻したのは否定できない事実です。しかし、いま必要なのは一刻も早く停戦することです。一人でも多くの命を救うことを最優先し、お互いに譲歩するという姿勢を見せなければ停戦交渉は妥結しません。

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