節約するのに「家計簿」をつける必要はないと断言するのは、「生活保護」の状態から、奨学金や借金でハーバード大学に進学したパトリック・ハーラン(パックン)。お金があまりなかった少年時代、限られたお金を大切に使うためにパックンが気づいたたった一つの考え方とは? 最新刊『パックン式 お金の育て方』から一部を抜粋・再編して公開します。
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■家計簿をつけるのは、本当に必要?
お金を節約するには家計簿をつけたほうがいいと言われます。
たしかに、日々の出費を記録することは、お金を管理するためにも、節約筋を鍛えるためにも効果がありそうですよね。
アメリカでも、「お金を残すためにバジェット(予算)を立てよ」とよく言われます。
あらかじめ食費とか遊び代とかを予算にして、家計簿をつけながら予算を守ればお金が増える、と。
ぜひ、家計簿をつけたり、予算を立てたりしてみてください。
と言いましたが、実は、僕は家計簿をつけるのが大っきらい!
それはきっと、子どもの頃に母から「出費をメモするように」と何度もキツく言われてきたからだと思います。
僕はあるとき、母から小さなノートを与えられ、こう言われました。
「何にお金を使っているのか、ちゃんとわかっておかなくちゃいけないよ。だから、出かけるときは、財布の中にある金額を必ずこのノートに記すようにしよう。そして帰ってきたら残金を記して、減った分は何に使ったのかもメモしなさい」
ただ、僕が母の言いつけどおりにノートをつけたのは、ほんの数週間くらいでした。
毎日のように、家計簿を見てため息をつく母を見ていて、「僕はお金のことを考えたくない」と思っていたから。
とはいえ、母からノートを渡されたことは、僕が節約を意識する大きなきっかけになりました。
ノートに書くのが面倒くさいから買わないこともありましたが、「キャンディバーを1つ買うだけでも、財産を減らす出費だ」という実感はノートを持ち歩かなくなった後も残り続けました。