下町文化が好きで、講談を聞きにいくこともあるという渋い一面も(撮影/写真映像部・高橋奈緒)

 “アンジェリーナ1/3”という名前は、日本人の父、フィリピンとスペインのハーフの母を持つ彼女自身のルーツに由来する。“アンジェリーナ”は海外ネームの本名で、“1/3”は日本、フィリピン、スペインの血が1/3ずつ入ってるという意味だ。

「この名前を付けてくれたのはメンバーなんですけど、みなさんに興味を持ってもらえるし、よかったなって思ってます(笑)。小学生の頃はハーフであることをからかわれたりしたけど、当時から“そんなこと言うなんて、しょうもないヤツだな”と思ってました。誰かを否定する言葉って、その人の世界の狭さ、想像力のなさが原因じゃないかなって。それは今も変わらないですね」

■ラジオやTVでも話題に

“サンジャポ”への出演、そして、9月末からパーソナリティをつとめる「A世代!ラジオ」(文化放送)がスタートするなど、活動の場を広げている彼女。20歳女子の日常から人種差別の問題まで幅広い話題を網羅する抜群のトーク力は、人気講談師の神田伯山からも一目置かれるほど。

「大した才能もないし、まだまだ未熟なんですけど、人の縁には本当に恵まれていて。バンドもラジオもそうですけど、“これをやりたい”と強く思っていると、必ず叶えてくれる人と出会えるんですよ。どうして皆さんが気にかけてくれるのか自分ではまったくわからないんですけど、もしかしたら人徳があるのかも(笑)。もちろん、メンバーの存在も大きいです。“声で表現できることは全部やれ”と言われてるし、私の活動は全部、Gacharic Spinのおかげなので」

 彼女が作詞したGacharic Spinの楽曲「I wish I」には、<こうやって辛くたって僕ら/生きていくんだ 信じてこの時代を/世界はとても美しい>というフレーズがある。中1で父を亡くし、経済的なハンディを負いながらも、持ち前の前向きさで夢や目標に突き進むアンジェリーナ1/3。彼女が新世代の発信者として注目を集めているのは、マイナスな環境を突破し、運命を引き寄せる強さがあるからだろう。

「まだ20年しか生きてないので偉そうなことは言えないですけど、いろんな経験をしているからこそ発信できることもあるのかなって。ただ、“自分の思いがそのまま伝わることなんて、絶対にない”とも思っていて。誤解されることもあるし、心のない言葉が目に入ることもあるけど、“なにくそ!”と思ってやってます。これから何ができるかわからないけど、私の活動を見たり聞いたりしてくれた方が、“自分もやってみよう”と思ってくれたらうれしいですね」

(森朋之)

アンジェリーナ1/3(あんじぇりーなさんぶんのいち)/ミュージシャン。6人組バンド、Gacharic Spin(ガチャリックスピン)のマイクパフォーマーを担当。ラジオ『アンジェリーナ1/3のA世代!ラジオ』(文化放送)のパーソナリティをつとめるなど多方面で活躍中。

2023年2月23日(木祝)には、LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)でワンマンライブを開催。

【Gacharic SpinのHP】https://www.gacharicspin.com/

Gacharic Spin
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