まもなく植樹から5年を迎える「復興記念桜」が、先日、宮城県東松島に春の訪れを告げました。雨にも負けず、風にも負けず、強く咲き誇る満開の桜のようすをお伝えします。

満開を迎えた東松島市の復興記念桜(2016年4月17日)
満開を迎えた東松島市の復興記念桜(2016年4月17日)
この記事の写真をすべて見る

●植樹から間もなく5年を迎えて

百円玉に書かれている植物が何かわかりますか?
そう、桜です。
この「百円桜」で東北に花を咲かせるためのプロジェクトが、2012年に行われた「春を報(しら)せる百円桜プロジェクト」です。皆様からお預かりした募金は、すべて桜の植樹に役立てさせていただきました。2012年5月4日、第1回の植樹を宮城県東松島市矢本上沢目で行い、地域の皆さまにご協力いただき、シダレザクラ15本とソメイヨシノ15本を植樹しました。
5年目を目の前にしたこの桜が、今年も満開になったという便りが届き、私たちは早速現地に向かいました。現地に着いてみると、遠くからでもはっきりわかるくらい、満開のソメイヨシノの木が目に飛び込んできました。

1年間のソメイヨシノ生長記録(左:2015年4月15日、右:2016年4月17日)
1年間のソメイヨシノ生長記録(左:2015年4月15日、右:2016年4月17日)

●雨にも負けず・風にも負けず ソメイヨシノはさらにパワーアップ!

去年よりも圧倒的に花数が増えたソメイヨシノ。まだ1.5m程度の高さで背が低いですが、小さくても満開の木は、とても見応えがありました。花は比較的大振りで、生長が順調であることがはっきりと伺えます。この日は暴風警報が発表されるくらい風が強く、時折雨の降る日でしたが、桜は風にあおられても花吹雪になることはなく、しっかりと咲き誇っていました。去年は花と同時に葉がではじめてしまっていたのですが、今年はそのような状況も落ち着いてきたようでした。

シダレザクラも、背丈はさらに高く生長していました。まだ細いですが、枝もだいぶ下の方まで伸びてきています。ただ、こちらも昨年より花数が増えていましたが、ソメイヨシノと比べると、まだ枝も少なく、葉の出ている部分が混在している状態でした。

東松島の復興記念桜のようす(上:ソメイヨシノ、下:シダレザクラ)(2016年4月17日)
東松島の復興記念桜のようす(上:ソメイヨシノ、下:シダレザクラ)(2016年4月17日)

【インタビュー】4年目の桜の世話を終えて

桜は、東松島市鹿妻二区のみなさんにお世話をしていただいています。区長の齋藤さんにこの1年間の桜のようすについて訊ねてみました。

―今年も無事に咲きましたね。桜の開花をみたお気持ちはいかがですか?

齋藤区長:「仙台の桜の開花がとても早かったにも関わらず、この桜たちはずっとつぼみでした。しばらく開花まで時間がかかりそうだと思っていた矢先、一気に満開になったので、嬉しさ反面、少し驚いています。不思議なことに、毎年、南の仙台と北の石巻よりも、間にあるここ東松島のほうが開花が遅いのです。東松島の桜の咲く時期を見分けるのは本当に難しいです。」

次のページ