うつ病を理由に参院議員を辞職した水道橋博士さん(60)に対し「給料泥棒」などと厳しい声が飛んでいる。過去や最近も、不祥事を起こしたのに辞職せず、給料泥棒と言われても仕方ない醜態をさらした議員がいたため、政治家に対する国民の目が厳しくなるのも無理はない。だが、国会運営や議員の事情に詳しい専門家は「水道橋博士さんの件はそうした悪例とは切り離して考えてほしい」と話し、病気や障害を持つ人が議員を続けやすくする仕組みの整備を訴える。
【写真】奇遇?水道橋博士さんとガーシー議員の国会での席順は…
* * *
昨年の参院選で当選し、その後、うつ病を発症していたという水道橋博士さん。辞職を発表した、れいわ新選組の山本太郎代表は「れいわ新選組としては、博士が回復するまで何年でも休職していただいて問題はないという立場だった。博士のなかでは、焦りや申し訳なさがどんどん強まっていったようだ」と、水道橋博士さん自らが辞職を選択したことを説明した。
国会議員には給与に当たる歳費が毎月約130万円支払われ、ボーナスなどを合算すると年間で3000万円を超える金額を手にする。原資は税金だけに、高すぎるという批判はかねてあった。
さらに、過去も今も、給料泥棒と言われても仕方がないような醜態をさらした国会議員や地方議員が確かにいた。
オレンジ共済組合事件で、1997年1月に逮捕された友部達夫・参院議員。拘置所に入ったため登院ができなくなったが、参院で辞職勧告決議が可決されたあとも辞職を拒否。
実刑が確定し失職した01年6月まで給与が支払われ続けた。1億円をゆうに超える金額だ。
NHK党のガーシー議員は海外から帰国せず、国会に一度も来ていない。このまま議員を続ければ、任期の6年間で2億円近いお金が支払われることになる。
水道橋博士さんは病気による辞職だが、彼に対しても「給料泥棒」「国民のために働く覚悟がない」などと、厳しい批判が出ている。
「国会議員の報酬が高いとの批判があるうえに、不祥事を起こした議員たちの悪例が続いているため、国民の視線が厳しくなって、政治家全体を汚いことをする人たちかのように見てしまいがちになることは理解できます。ですが、病気を公表し、それを理由に辞職を選択した水道橋博士さんの件はまったく別で、分けて考えてあげてほしい」と思いを話すのは、元参院事務局職員で、国会運営や議員の事情に詳しい同志社大の武蔵勝宏教授(議会制度論)だ。
そもそも、病気や心の病は誰もがなる可能性がある。治療との両立は可能なのか。