武蔵教授によると、国会には民間企業のような「休職」の仕組みはないが、国会会期中は、欠席届を提出すれば休むことができる。長期の休みが認められるようになったのは、橋本聖子氏が産休を取得した2000年の話で、歴史は浅い。「女性議員が少なく長期の休みについての議論が長く起きなかった」(武蔵教授」という。

 民間企業でも、休職などの制度はあっても休みづらい空気の職場はあるが、

「国会議員は健康で体力旺盛な方が多いですが、だからといって休みづらい雰囲気があるわけではありません。与野党問わず、本人に責任のない病気やケガでの欠席については、批判されたり、辞職を求められたりすることはありません。病気や事故にあう可能性はみんなにありますからね」(武蔵教授)

 休みは取れるため、病気によっては治療しながらの議員活動が可能なケースは考えられるという。ただ、その一方でハンディを抱える議員に優しくない面もある。

 国会会期中、議員は東京にいなければならない。代理での投票や質問は認められておらず、オンラインの会議やリモートでの出席も未整備だ。

 海外では、他の議員が代理で投票する制度や、二大政党制の国ではペアリングといって、一方の政党の議員が出席できない場合は、もう一方の政党も投票しない制度を儲けている国がある。

「休むと職務に穴をあけてしまう、という不安を取り除く制度です。病気だからと議員を諦めたり、議員を続けるために出産を断念したりしなくて良いのです。日本の国会は欠席することが念頭になく、その点が遅れています。水道橋博士さんも、今の仕組みでは病気の治療をしながらの継続は難しいと判断したのかもしれません」(武蔵さん)

 高すぎると批判されてきた議員の給与や諸手当。休んでいる間も満額支給され続けることが、水道橋博士さんに関しても、世間の反発を強めている一因かもしれない。休職中は減額するなどのルール作りは必要ないのか。

 武蔵教授は、「自主返納の仕組みはあっていいかもしれない」と前置きしつつ、現職中に亡くなったある議員の話を引き合いに出した。

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国会には環境に恵まれた世襲議員ばかりが増える