入山章栄さん(撮影=榊水麗)
入山章栄さん(撮影=榊水麗)
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 目まぐるしく変わる社会の中で子供が自立し稼げるようになるために、親はどんな力を身につけさせたらいいのか。『プレジデントFamily』編集部が世界のビジネスを研究してきた気鋭の経営学者・入山章栄さん(早稲田大学大学院 早稲田大学ビジネススクール教授)に取材した――。

20~30年後にわが子を食いはぐれないようにするために

 今、小学生ぐらいの子供たちが大人になって社会で活躍するとき、日本や世界のビジネス環境はいったいどうなっているのか。

 結論から言うと、それは誰にもわかりません。研究者であり、実際にさまざまな企業の経営にも参加している私にもわかりませんし、天才起業家といわれるイーロン・マスクにもおそらくわからないでしょう。

 たとえば、子供たちの間で今、人気がある職業はユーチューバーですが、10年前にユーチューバーという職業が成り立つと考えていた人はどれだけいたでしょうか。あるいは、コロナ禍でなかったつい3~4年前、リモートワークがこれだけ一般的になると想像できたでしょうか。

 つまり、「20年後あるいは30年後に食いはぐれないためには、こういう人間を目指すべきだ」という問いの「正解」はないのです。現在、起きている環境の変化を考えると、今の小学生たちがこれから経験するのは、今の親世代からは想像もできない世界のはずです。

 では、予期できない世界に対応するためにどんなことが重要になってくるか。

 大事なことは三つあって、一つは世の中の変化に対応する力。二つ目は、何が正解かわからないからこそ、遠い未来に向けて自分のやりたいことをはっきり持つこと。そして三つ目が、その二つを生かすための最低限のスキルです。

 まず、世の中の変化に対応する力についてお話しします。

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