「内定辞退者の中には第3希望園以内で決まれば復職するつもりだったが、それ以外の園だったので、育休延長することにしたという人もいる」(担当者)
育休を長く取れる企業も増えてきた。悪条件の園に預けてまで職場復帰したいという保護者は減る傾向にあるようだ。
都内の認可保育園に4歳の子どもを通わせる40代フリーランスの女性は、保活1年目の際に不承諾通知を受け取り、その年は、認証保育所にすべり込んだ。見学をする余裕もなく、駅近の立地で決めた。
マンションの一室にあるその園は、園庭はおろか、窓すらなかった。近くの公園へお散歩に連れていってくれてはいたが、天気が怪しいと外出なし。
「当時1歳なのでまだよかったのですが、大きくなるともっと外遊びが必要になりますし、窓がないのでウイルスも心配。先生の対応はよくても、3歳までいるつもりはありませんでした」
翌年には園庭の広い希望園に移ることができた。
現状は、保育園の数が増えたことで、保育の条件にかなりの差ができている。
「希望園でなければ辞退という流れは増える可能性はあるなと思います」(港区担当者)
親たちにとって最も気になるのが“保育の質”だ。
保活中の東京都江戸川区の団体職員の女性(38)は言う。
「保育士が働きやすい環境、給与が安すぎないことでストレスなく働ける環境であってほしい」
保育園で起きる虐待や事故のニュースがよく流れる。子どもたちと日々接する保育士が、ストレスなくのびのびと働けることが一番だと願う。
「正直、見学だけでは保育園の質はわからなかったです」
と話すのは、前出の年子を育てる女性。現場の雰囲気を自分の目で確かめるため、妊娠中から5、6園見学に回った。ところが見学日はあらかじめ指定されているため、職員も“よそ行き”の雰囲気。ありのままの園を見ることはできなかった。
「目で見た情報も、ネット情報も頼りにならない。結局知り合いの保育士から情報を得て判断していました」