「コンビニ百里の道をゆく」は、50歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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「番狂わせ」という言葉があります。スポーツの現場では、予想外の結果が醍醐味となるものです。私たちビジネスの現場でも、思ってもみなかった商品が爆発的なヒットになったり、その逆のこともあります。
この秋のラグビーワールドカップ(W杯)は本当に盛り上がり、個人的にも毎週末が待ち遠しい日々でした。4年前のW杯では、今大会王者である南アフリカに予選で日本が勝利したことが「スポーツ史上最大の番狂わせ」だと話題になりました。その後、対戦したスコットランドには負けを喫したので、雪辱を果たそうと、今大会でのスコットランド戦への意気込みは、すさまじいものがあったと思います。
私も現地で観戦していたのですが、スタジアム全体を覆い尽くす「この日のためにすべてを犠牲にしてきた」という代表選手団の発するオーラに、「君が代」斉唱が相まって涙を抑えられませんでした。
見事勝利し、8強に入りましたが、この勝利を番狂わせなどという人はもういないと思います。一分一秒の積み重ねによって、こんなにも大きな結果を勝ち取ることができる。強烈な勇気を頂きました。
旭化成の吉野彰さんのノーベル化学賞受賞が決定し、そこでも積み重ねることの大切さをお話しされていました。科学とスポーツと、ベクトルは違っても、共通する精神がある。
ひるがえって自分自身を顧みれば……。まだまだできることがあるのではないかと、ドキッとさせられました。もっとお客さまを見て、加盟店の皆さんとワンチームを目指し、毎日を積み重ねる。もっともっとこだわって、もっともっと努力し、成長を目指す。
ビジネスもまた、毎日の積み重ねです。このとんでもなく大きな感動を胸に前に進みたい。日本代表の皆さん、本当にありがとうございます!!
※AERA 2019年11月25日号